キリムの主要産地
遊牧民が作り出した織物「キリム」
キリムは遊牧民が作り出した織物です。
配色・文様・織り方・構成は基本的にその部族の特徴が表れています。そのため、キリムはその流通段階では、織り手が所属する部族名を一般に呼称として用いられ、キリムの産地はあくまでもキリムの集散地を表現しています。
西アジアから中央アジア一帯には、大昔から遊牧の先住部族が暮らしていました。
キリムは、この広大な地域を移動しながら生活する人々の生活用具としての織物です。
そのため、キリムの産地は近代以降に人為的に引かれた国境よりも、地域や部族によって、その違いや特徴を見ることができます。
◆キリムの名称
キリムの名称が、たとえばトルコにある地域や町の「マラティヤ」「コンヤ」と呼ばれたり、イランとアフガニスタンにわたって住む「トルクメン」「バルーチ」のように部族の名前で呼ばれているのは、キリムの起源と歴史を物語っているからです。大きくは、トルコ(アナトリア)、イラン(ペルシア)、コーカサス、アフガニスタン、中央アジア、北アフリカ(モロッコ)の6つの産地に大別できます。
トルコ(アナトリア) | → | ヴァン、カース、シバス、エルズルム、マラティア、コンヤ、カイセリ、ベルガマ他 |
イラン(ペルシア) | → | セネ、アフシャール、ヴェラミン、カシュガイ、バクティアリ、ローリー、カズビーン他 |
コーカサス | → | クバ、カラバフ、シルヴァン、ダゲスタン他 |
アフガニスタン | → | トルクメン、ウズベック、ハザラ、バルーチ他 |
中央アジア | → | トルクメニスタン、ウズベキスタン他 |
北アフリカ(モロッコ) | → | ベルベル他 |